【ぼっち合宿免許日記】第14話 最終話 卒業検定 301112
今日は最終日。
合宿免許は今日の11:00~の卒業検定に合格して、終了だ。
やっと東京に帰れる。
仮免許の時と同様、そわそわしているが、いつも通りやればきっと大丈夫だ。
チェックインは10:00なのでまだ時間がある。
僕は転生したらスライムだったというアニメを見た。
これがまあ面白い、そしてなぜかちょっとだけ泣ける。
いい話感がすごい。
それから昨日まとめておいた荷物にワックスや洗顔、靴など最終の荷物を詰めてホテルを後にする。
「お世話になりました」フロントでお礼を言う。
「また、何かありましたら、ぜひ泊まってくださいね」と中年の女性は返してくれた。
僕はこのとき思った。ああ、フラグだ。
なるほど、またあとでここに来ることになるんだなと。
いやいやそんなわけにはいかない。
僕はヴィドフランスでいつものように朝食をとる。
これも最後か、最後だと思うと自然と笑えてくる。
笑顔の方の笑いだ。教習所まで歩いていく。
検定は11:00に自分が走るコースが発表になり、12:00前に車に乗り込む。
僕はKとは別のグループで女子二人と教官の3人と1人のグループだった。
緊張はしていなかった。が、発進してからミラーを直したらしっかり減点された。
もちろん出発前にも直したが、再び直した。減点された。
フザケンナと思ったが、まあ5点くらいだろう。
卒業検定は70/100取れていれば縦列駐車に移り、それも問題なくできれば合格ということになる。
多分進路変更のウィンカーが出すの早すぎる点でも減点を食らっただろう。
次の瞬間大きな力に逆らった反動が体にのしかかった。
急ブレーキ!
僕は何が起こったのか全くわからなかった。
指示通り、セブンイレブンの角を曲がり、標識通り40キロを出していた。
急ブレーキ。
「はい、検定終了です。」
内田篤人をボコボコにして、顎をしゃくれさせたような顔の教官にそう言われた。
この人、以前も当たったことがあって、とっても嫌だった。
僕はわけがわからなかった。
「ガードレール、危ないよ、これはぶつかっちゃうよね」
ブレーキを踏まれたら検定は即中止。
僕の検定はそこで終了していた。
なにかを言い返す気にはならなかった。
そうだ、通れている。現に。
しかしそれは結果論なんだ。
ブレーキを踏まれるということは、シンプルに検定終了を意味し、そしてそれ以上に、もし実際検定ではなく、走っていたらそれは認知ミス、判断ミスが原因となって事故を引き起こしていたということだ。
確かにガードレールにはぶつからなかったが、それは結果論。
教官は僕にこう言った。
「助手席にいる人間に恐怖を抱かせた」
しばらく走って、次の方に運転を換わる。
田んぼに白鳥がいっぱいいた。
教官もそれを見ていた。僕は左後部座席から、助手席にいる教官の席を軽く蹴った。
何もなきゃ教官はブレーキを踏まない。
これが一日の延泊でよかったと思った。
車の故障や傷を直すお金でもなくましてや誰かの命なんてことではなくて済んだ。
僕はムッとした態度で腕を組んで後部座席にいることを俯瞰して、切り替えた。
手を広げ、心も広げる。僕は最高。幸せだ。
新潟をもう一日楽しめる。それにこれは教官の愛だ。
ありがとう。
ブレーキを踏まれた瞬間、何かが増えた瞬間があった気がした。それは新潟での思い出だった。
延泊した瞬間二倍になった。
くそーーーーーーーーーーー
検定が終わり、家族や友達に報告をする(笑)
それからKと飯を食べた。
埼玉から来てるヤンキーに何度も悲しいか聞かれた。
受付の方にも呼ばれる。
宿泊費、食事代、その他諸々はしっかりと保証されているため、追加でお金はかからない。
Kを見送る。
それから補修として一時間外を走り、縦列、方向転換をやった。
再びホテルへ向かう。
イーストホテル。それがホテルの名前だ。
受付の方はしっかりこう言った。
「今日は」と。
昨日までは823号室だったが、
今日は536号室だった。
この部屋は間取りこそ全く同じだが、窓の形が少し違って、昨日までより大きかった。
僕は17時まで部屋で過ごし、夕食に向かった。
ああ、昨日は定休日だった。
今日はいちばんも二郎もやっている。
だがいちばんで野菜炒めライスをいただいた。
そしてまっすぐ部屋へと帰った。
ああ。少し小雨が降っていた。
ああ。また明日。